1日をポニョでサンドウィッチ
早朝9時。競馬戦士が集まり始める大阪は難波。前夜、友人と電気グルーブの石野卓球氏のクラブイベントがあり、帰りにスパワールドでスッキリしてからようやく日も昇り、皆で帰路についていたが、『崖の上のポニョ』の上映時間が都合よかったので見て帰ることにした。
ポスターのポニョが可愛らしくて、いかにも子供好みのキャラクターだったので、今回は珍しく予備知識なしで座席に着く。映画が始まってこれぞまさしくの宮崎タッチのアニメーションに既に感動し、鼻息を荒げ、前作までの作品を思わせる要素だったり、もちろんこれまでにない表現法にも度肝を抜かされる。
歳がいったというにはまだ早いような気もするが、最近映画で子供が必死に走ってるのを見ただけで感動してしまうようになった。この前なんかビックリしたのが、ドラえもん映画で冒頭にのび太がドラえもんの名を叫ぶ毎度お決まりのシーンで感動して危うく泣きかけた。涙腺の調整が非常にゆるい。
あまりのポニョの可愛らしさだったり、宗助に自分の過去を勝手に照らし合わせて、あぁ、こんな事あったあった、とかで2時間ほどウットリ。劇場を去る時には例のポニョの歌を口ずさみながら『藤岡藤巻と大橋のぞみと汚英』とフィーチャリングな感じで帰ろうとするが、『あれ?何か深くなかった?』と酷く心情とか思想とかに訴えかけられるような気にとらわれた。
で、2回目。
両親が救援物資をアパートに届けてくれたのとオカンが映画好きなのを利用し、レイトショーに誘い込む。午後9時にチケットカウンターに向うと、既に10時の回まで売り切れで、11時30分しか空いていないということで、親父が『帰れる』と安堵の表情を浮かべた後、「あ、じゃぁそれで3枚」と息子も驚くオカンの衝撃の決断に、帰れると思ってしまっていた親父の表情が変に青くなった。50も過ぎたオッサンが嫁と息子のワガママでポニョみたいな映画で11時半まで待たなアカンのか、みたいな空気がビシビシと伝わってきた。
「2時間あるからワェ車で寝てくら」と駐車場に向う親父の背中と場内で流れていたポニョの歌が陰と陽で酷くマッチしていた。
2回見て色々気付いたけど、やっぱりこの映画子供向けに見せて感慨深さを映画から探ろうとする大人にも全然耐えられる内容に作ってる。ワーグナーの北欧神話だったり、夏目漱石だったり、たぶんそれでも2回見ても気付き取れない要素がかなり入ってる。久しぶりに一口で語りつくせぬ作品。完敗。
宮崎駿ってさすがだなと閉口してしまうのが、子供向けに表面化でもしっかり充分に楽しませてくれて、その子が大人になって、また作品を見返したときに何かその子の成長に見合ったメッセージが必ず含まれる様に作ってるって事だ。だから見る度に感じ方が変わる。その点で言えば『ポニョ』は見えないところで語りつくされてる感じが凄い伝わってきた。
1日をポニョでサンドウィッチして思った事、これだけは言える。絶対帰ったら異常にハムとインスタントラーメンを食べたくなる映画だという事だ。